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田植えの季節

2025/06/01

🔵はじめに

風が心地よくなり、田んぼに水が張られる光景が増えてくると、いよいよ田植えの季節です。地域によって時期に差はあるものの、5月下旬から6月上旬にかけて、日本各地で田植えが行われます。

水面がきらきらと光る田んぼに、まっすぐに並ぶ苗。その風景は、日本の初夏を象徴する美しい景色のひとつです。今回は、なぜこの季節に田植えが行われるのか、そして稲作に欠かせない「水」の大切さについて、やさしく紐解いてみましょう。

🔵なぜ今の時期に田植えをするの?

田植えのタイミングには、自然のリズムが大きく関係しています。稲は暖かい気候を好む植物で、成長に適した気温は20~30℃前後。初夏の気温はまさに稲の育成にぴったり。

また、梅雨前に田植えを終えることで、たっぷりと降る雨を活かして苗をしっかりと根づかせることができます。このタイミングを逃してしまうと、稲が十分に育たず、秋の収穫にも影響が出てしまいます。

昔から「八十八夜(はちじゅうはちや)」と呼ばれる、立春から数えて88日目の頃が、農作業のはじまりを告げる目安とされてきました。これはちょうど、5月初旬ごろ。自然と調和した暮らしの知恵が、今も受け継がれています。

🔵田んぼと水のつながり

田植えの前には「代掻き(しろかき)」と呼ばれる作業で田んぼに水を張ります。水を張った田んぼは、稲にとってのベッドのようなもの。やわらかく温かい土に根を伸ばし、ぐんぐんと成長していきます。

水には、稲の成長を助けるだけでなく、雑草を抑えたり、夏の高温から守る役割もあります。また、田んぼは自然の中の「調湿装置」として、雨を蓄えたり、地下水を涵養するなど、日本の水循環を支える重要な存在でもあるのです。

稲作を通じて培われてきた「水とともに生きる」文化には、自然を敬い、共に暮らしてきた日本人の知恵とやさしさが息づいています。

🔵暮らしの中にある田植えの風景

最近では、地域の農業体験として田植えイベントが行われることも増えてきました。都会で育った子どもたちにとって、泥の感触や裸足で田んぼに入る体験はとても新鮮。大人にとっても、童心に返るような時間になることがあります。

また、田植えの風景は、ただ見ているだけでも心を落ち着かせてくれるもの。まっすぐに植えられた苗、風に揺れる水面のきらめき。そんな風景を目にすると、自然のリズムの中で暮らしていることに、ふと気づかされます。

🔵まとめ

田植えは、日本の四季の中で育まれてきた、自然との対話の時間です。なぜこの季節に行うのか、どうして水が必要なのか、そのひとつひとつに、先人たちの経験と知恵が詰まっています。

お米が私たちの食卓に並ぶまでには、たくさんの人の手と、自然の恵みがあります。田植えの風景を見かけたら、ほんの少し足を止めて、そこに流れる時間を感じてみてはいかがでしょうか。