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冬水田んぼ

2022/11/01

冬水田んぼ(ふゆみずたんぼ)という言葉を聞いたことかありますか?
通常、田んぼに水を張る季節といえば、春ですが、稲を刈り終わった後(収穫後、12月~3月)の田んぼに、通常は水が張られていませんが、あえて田に水を張り続けた状態(湛水状態)にしておくことを冬水田んぼ(ふゆみずたんぼ)と言います。
冬期湛水(とうきたんすい)とも呼ばれます。

江戸時代の文献に「田冬水」や「会津農書」などに記録が残っており、生態系の力を使い、田んぼの機能を改善する、歴史のある自然再生農法ですが、最近も注目されています。

この冬の田に水を張るのは、どんなメリットがあるのでしょうか?

■湿地状態がつづくため微生物やミミズ、魚が育ちます。
■水田に残っている藁くずやイネ株の分解が進み、残留物は春に藻類の栄養源となり、有機物は菌類やイトミミズなどの働きで天然の堆肥となります。
■それらを捕食する白鳥などの渡り鳥が飛来し、越冬地として利用することがあります
■渡り鳥が飛来した場合、そのフンによるリン酸の施肥効果が確認されています。
■雑草を抑制する効果があるので、無農薬・無化学肥料稲作が可能になります。
■山間部など田植え期の水を確保しにくい地域では、渇水対策としても有効
■地下水の涵養にも大きな効果があります。

水田は、日本をはじめとした東アジアから東南アジア諸国での主要な農地利用形態であり、稲作に利用されるだけでなく、湿地で生きる生物に生息地や産卵場所を提供し、生物多様性の維持にも寄与してきました。
今、これら生物による物質生産能力を活用した、環境にやさしい農業にも注目が集まっています。
このように冬水田んぼは、生物の多様性を守る環境調和型農業なのです。

水が田んぼをたっぷり潤す。
そして田んぼも水も、もっと豊かなになっていきます。
冬に水が張った田をぜひ、探してみてくださいね。
特に夕暮れ時は、夕日が水に反射して、とても綺麗です。

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